DXによる競争力強化

 デジタル庁の発足や、経産省からDXレポート2.1が公表されたことで、雰囲気として、自治体や中小企業といった、デジタル化の出遅れ組と見做される領域においても、このDXの概念が浸透せざるを得ない状況になっている。「浸透せざるを得ない」という妙な表現を使ったのは、言葉だけ上滑りしていて、何をやればいいんだ的な人たちは少ないからであり、情報システムとか、オンライン手続き、オンライン販売のようなことはわかるけれど、この分野で古典的な概念である、「ICT利活用による業務改善」の枠を超えた、垣根をこえたネットワーク化が、捉え切れていない状況にある。それに、DXによる競争力強化というのは、他に対し優位に立つということであり、こうした捉えどころのない話を前にして固まっていたら、大きな波を起こせる他者に呑み込まれてしまう、暗闇の中で津波に襲われるような不安もある。自分のテリトリーを大きく超える話だが、聞いていてわからない話ではない。とはいえ、どのように動けばよいかはわからない。

 自分は今どうすれば良いのか。待っているだけで済むのは行政依存の地域住民であり、ビジネスチャンスとか、新しい社会への適応とその中での生存戦略といった観点からは、能動的に動くしかない。新たな技術はあるが、ほとんどは既存の技術の組み合わせに過ぎない。DXがどこまで社会をつなげられるか、リアル社会を取り込んでいくのかについては、リアル人生を生きている我々がどこまでバーチャルを受容できるか、「自動化」による判断を受け入れ可能なのか、認識の変化により受容が期待される面も含め、見極め、一歩先を行き、自分のこれから先の生き残りのための武装をしていく。読み物としてさらりと読んだだけでは、心にいちいち落ちていかない、報告書を見えざる裏書を読み、こうして観点での材料の掘り起こしをやっていきたい。

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