メンタルからの復帰

 僕は2019年の秋に、メンタル面で大きなダメージを受ける出来事があり、それにより心が暴走し、不眠と極度の食欲不振に陥ったことから、医師から急性ストレス障害との診断を受けて、職場を4カ月ほど、お休みしたことがありました。診断は急性ストレス障害でしたが、長引きましたので、いわゆるPTSDというものだと思います。幸い、主治医をはじめ多くの方々のサポートを受けて、食欲は徐々に回復し、不眠状態も投薬の効果により最低限の眠りは確保できるようになりましたので、休み期間は延長することなく職場復帰し、勤務しながら体調の回復を進めていました。今でも心が受けたダメージはトラウマとして残っていて、それが僕の内面で悪さをしますが、だいぶ小さくはなっているようであり、投薬によりその活動を抑え込み、睡眠の確保と精神の安定をコントロールできているため、日中の勤務や生活には、ほぼ支障がなくなっています。

 今回は、自分がいつも勤務している職場から離れたところで緊急事態が発生し、その事態への対処のため、単身赴いたところに、さらなる想定外の事態が起きたことで、誰もが状況の全体像を把握できなくなったところで、一人、状況を理解していた僕が一時的にすべてを担わざるをえなくなり、そこでの孤独感と極度のストレスを受けて、ダウンしてしまった感じです。僕は、若いころからは比較的ハードな職場にいたので、メンタル面では自分が倒れることはないものと過信し、無防備だったというのはあると思います。東日本大震災以降は、災害時の対応マニュアル的なものが企業や役所である程度整備されてきたと思いますが、当然ながらマニュアルで想定している災害やトラブルが、マニュアルそのままの姿でやってくることはなく、仮に想定の範囲内の災害やトラブルであっても、その後は予期せぬトラブルが発生することで、マニュアルからは大きく外れていき、その結果、指揮命令系統が一時的に分断され、個々の持ち場で適宜適切に対処せざるを得なくなることは少なくないと思います。

分断されたところに取り残されて、全体の方針が見えない中、自己の職責を超えて判断をさせられる、そういう事態を見据えて、最低限、守るべき、これだけは絶対ダメという約束事を決めて、あとは現場として常識的な対応をできるよう、例えば金融機関であればお客様の立場を第一に考え、自治体であれば地域住民の不安を取り除くことを第一に考える、そのための行動規範みたいなものを示し、それに照らしてOKであれば、後の責任は組織がとるという姿勢を明確にすることが、これからの事態、より求められるように思います。このへん、どうしても組織防衛の観点から、ボトムアップ型で決まり事を作ろうとすると、最低限守るべき約束事になんでもかんでも盛り込みがちですが、そこを3つ程度にスリムにできるかは、トップの決断なのだと思います。

 話は変わりますが、メンタルで休みに入ってわかったのですが、職場復帰に向けたロードマップというのは、ある程度、自分の中で描く必要はあると思います。もちろん、お休みに入った直後は、メンタルが底にあって、そんな出口のことなんて考えている余裕はないわけですし、周囲の人からも、とにかく、今はゆっくり休みなさいと言われます。ただ、ゆっくり休んでいるモードから、いきなり職場復帰はハードルが高く、立場が上であったりすると、部下の手前とかもあって、そのへんは一層難しいように思います。(一方で、パワハラを受けて休んだ場合、その上司がそのままいる職場に復帰するというのも、なかなか大変だとは思いますが)

 ですので、お休みの期間が4か月とすると、何も考えずに休めるのは2カ月半で、残りの1カ月半は、誰もいない休日の職場に出て行って、職場の雰囲気に慣れるとか、職場の上司や同僚と、職場以外で会う機会を設けるなど、助走期間は必要と考えます。まあ、このへんは、職場によってはリワークプログラムがあって、短時間勤務からはじめることができたりもするのでしょうが、短時間であっても周囲がフル稼働している中に出ていくというのは、なかなか大変です。僕はこうした助走期間を設けて、復帰後もフルタイムながら早朝出勤、早退の勤務形態から入りましたが、周囲が勤務を続けている中で、ある程度の立場にあって先に帰るというのは、多少抵抗がありました。

 そう考えると、4か月のお休み期間だと、本当に静養に専念できるのは3か月ないぐらいですので、可能であれば、半年ぐらいは休まないと、本線復帰は難しいのかなと思います。ただ、人事異動の時期がある程度固定している場合、復帰のタイミングによっては、戦力として員数に入れられず、次の異動のタイミングまで、しばらく慣らし勤務をすることになったりして、それはそれで肩身の狭い思いをしたりもします。メンタルの場合お休みに入るのも、それなりに大変ですが、お休みから復帰するのは、復帰後、自分を職場に馴染ませるという点でも難しいし、受け入れ側も対応が難しいので、ここをうまく本線に乗せるプログラムを持つ組織というのは、すごい組織なのだと思います。

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