限界を知りつつも逃げずにその場で応戦

 プレッシャーに弱くなっているので、その時には瞬間的に「逃げ出したい」という気持ちが沸き上がるようになっている。そこは、一度、こころの命を落とした自分が、井戸の底のような場所に突き落とされてから地の底で立ち上がり、地上に這い上がってくるという経験をしたことの代償的な反応であると思う。そうした経験を二度としたいとは思わないが、もう一度同じことになった場合も、地の底に落ちてもそれで命を失うことはないという妙な安心感があり、そこを上書きすることでもう一度自分を劇的に変えられるかもしれないという、よくわからない幻想を抱いている自分がいる。ただ、現状では現実の中で対応をしようという気持ちが強い。限界走りつつも、あまりそれは露骨に出さず、何とか工夫して乗り切りたい。もしかすると、単に井戸の底からの帰還体験であれば、ここまで割り切って乗り切れずに、地の底巡りの誘惑に引きずられてしまっていたかもしれない。地の底巡りは命を失うことのないサファリパークツアーに似ていて、怖いものみたさ、他人の知らない怖い境地を潜り抜けてきたという特別な感情は、案外物語として語っていて気持ちが尽きないものだ。ただ、もう一度繰り返すことは貴重な人生の時間を浪費することになる。地の底巡りの経験は、これまでの人生の中でも特に貴重な経験ではあるので、今は、過去のこの出来事をきちんと意味付けして、より良い未来の高みを得るための材料として組み込んでいく。その過程の文献は混乱の中で整理されずに散らばっており、その部屋にはこれまで踏み込まずにいたが、そろそろ、部屋に戻り、あの時のことを整理する時期に来ているような気がする。

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