感染が収まらない状況を受けて、実効性のある行動制限を実施するために、政府に対し強制力のある法整備を求める声が聞こえてくる。当然、賛否両論のある話なので、これまでは考え方の一つとして何となく聞き流していたが、知事会の要望となると、地方政府の総意ということになる。これまでは緊急事態宣言下での営業時間短縮の命令違反に対する罰金を徴するところまでは精一杯で、そこまで行き着くにも一定の手続きが必要。それ以外はお願いベースでしかない、というのが実情で、現状では実効性の要請をどれだけ強いトーンで伝えるか、ということに工夫するしかない。地方政府もそれぞれの地域で批判にさらされているので、最後の手段として国に要望するしか手がないということだろう。
ただ、実際に強制力のある法整備ができるかというと、具体的にどの法律を適用できるのか、どの法律を改正することで実現できるのか、法律がない場合、どのような法律を制定することが可能なのかという議論はほとんど見受けられない。これは、そうした人の行動を制限する法律は憲法に違反する可能性が高く、そもそも、国にそうした「力」を与える議論自体、拒絶反応を示す人たちが一定数あるので、どのような手続きをするにも何年もの合意形成に向けた議論が必要になる。おそらく要望した地方政府の側でも、何か具体的な案を持っているわけではないと思う。
それに、ロックダウンを実施した国々でも、完全に抑え込んでいるとは言い難いし、ロックダウンによる影響は低所得者層ほど大きくなる。そうした負の側面はあまり議論されてきていないので、当然本気で強制的な法整備を進めるならば、そうした点も検証し、メリット、デメリットを議論する必要がある。
いずれにしても、頭の体操として、何かたたき台となるような法整備の案があれば、そうしたものを勉強しておきたいと思う。
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