なりたい自分を夢想して

 自分はこの先、何が望みなのだろう、何を願っているのだろうと、自分自身に問いかけてみました。漠とした「変わりたい」というイメージはあっても、年齢的には40も後半であり、今からゼロベースで自分探しの旅に出ますという感じではありません。職場では業務経験に応じた職位と職責を担っており、妻子との関係もまず良好だと言えます。金銭的余裕はあるとは言えませんが、それでも毎月の生活費に事欠くことなく、ある程度の資産形成もできています。

 2019年の秋にイレギュラーな事態に直面し、メンタル面でダメージを受けましたが、3か月余りで職場復帰しました。復帰後数カ月で8割の水準まで回復し、今はその水準を前提に、自分なりのスタイルを確立しつつあります。8割というのは、やはり一度折れた厚紙のようなもので、その部分が弱さになって、自覚なく意識なくガンガン仕事ができるという感じではない、ということであり、8割から10割まで回復するかと聞かれれば、将来はあるかもしれませんが、それには時間の経過以外の要素が必要な気がします。ともかく、今は朝晩の投薬を前提としてではありますが、自分なりにメンタルをコントロールする手法を身につけ、多少のメンタルの揺らぎはあっても、それで倒れることなくバランスを取り戻し、表面的には従前と変わらず仕事がこなせるようになったわけで、この状態で今のレールを進むことも十分可能だと思います。

 ただ、その先になりたい自分があるかと問われれば、違うと感じます。今の自分は、制約を感じながら、自分の持つ多くの属性を統合できないまま、さまざまな顔を使い分けて生きています。我ながら器用だと思うのですが、効率的ではありません。自分の持つ認知能力、体力、精神力は有限で、認知能力や体力は低下のスピードをゆるめることはできても、維持したり引き上げたりすることは難しいでしょう。そうなると統合して一方向に太い流れを作り、そこに資源を集中することが必要です。いろいろな属性をいきなり統合すると、それぞれの持ち場が混乱して自分の生活の基礎が揺らぎ、それはメンタルにも影響を与えます。そのため、属性を受け入れられる別な器を準備し、その器をデビューさせて、そこにあらゆる属性を移行する。これからのことを考えると、器は現状属する組織とか、地域とか、その他もろもろの属性に束縛されない、ただ個人の社会的価値に立脚した器であることが望ましい。それこそが自分の描く将来のありたい姿であり、そこに至ってはじめて所を得たことになり、精神面の折れた厚紙を捨てて、新しい拠り所を手に入れて10割回復となるのでしょう。ノンアル生活もそこに至り、部分解除できるかもしれません。自分の属性をすべて知悉しているのは自分しかいない。そのままでは孤独な戦いですが、属性のある程度を共有できる人はいますので、そうした人の力を頂きながら、あるべき自分でなくありたい自分を夢想して、実現させたいと思います。

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