役所勤め

 終身雇用前提で、組織人として長きにわたり同じ会社に勤め続けるというのは、不透明な時代にはリスクの高い選択肢であると思います。民間企業はもちろんのこと、役所勤めについても近年は、災害や感染症対応等、複数の非常事態が常態化することで、特に非常時オペレーションのできていない職場では、ブラック化が進行し、職場環境が悪化しているようです。今後の国家財政もまともに考えると、いつ債務バブルがはじけても不思議ではありません。5年ぐらいは安泰でも、20年、30年の人生を託す場としては危ういと思います。しかしながら、役所に入って10年ぐらいすると、仮に個々の組織に属して処遇に不満を持ったとしても、公務員間のオープンな転職市場が存在せず、官民転職は民から官への一方通行になっているので、役所に入った時点で良くも悪くも「上がり」状態となり、そこから脱出するには、ゼロベースで仕切り直しをするか、役所としてのコンテンツ以外の強みを自身に武装し、それをウリに市場評価を受けるしかありません。となると、海外留学などの特別な教育を受けたエリート層か、そうでなければ30歳以下で見切りをつけて辞めない限り、転職は困難です。このため、役所組織は採用には熱心でも、既に組織に取り込んだ人間については、多くが辞めることはないという前提で人事を考えることができますし、人材引き留めのために熱心になることはありません。人材流出というかたちで出口についての見えるようになれば、組織は必要な人材の囲い込みに本気になりますし、若手の見切り退職も減り、組織も活性化するのではないかと思います。役所を見ていると、流入河川はあっても流出河川のない、閉鎖水域の湖沼のように感じます。

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