高校時代は人生の中で3年間に過ぎないのですが、行動範囲が中学に比べ飛躍的に拡大し適度な自由を手に入れ、学校の行き帰りに買い食いしたり、バイトも少しやったりして、大学受験のための夏期講習や冬期講習で都心まで通ったりと、恋愛の要素のない灰色の高校生活ではあったものの、振り返れば良き時代であったと思います。両親も健在で、生活の心配をすることもなかったですね。自分の性格はまだまだ社交的ではなかったですが、中学時代に比べればさまざまなプレッシャーから解放されていて、強いて言えば体育の授業が苦痛だったぐらいでしょうか。小説でも作家が舞台に選ぶのは高校が多いような気がします。大学になると人間関係の結びつきが疎遠になるので、描きにくいし、良くも悪くも序列があるので、多くの人の共感を得にくいのだと思います。高校も序列はあるわけですが、大学のように全国レベルの序列に組み込まれておらず、極端な設定をしなければ読み手に引き寄せることができます。この先の人生も、高校時代より経済的、精神的に恵まれることがあっても、転落の不安と隣り合わせであり、平らかなところを歩いていた高校時代にまさる時間を過ごすことはないように思います。高校時代は永遠に、といったところでしょうか。
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