登場人物をデザインする

 高校時代というのは人生で一番多感な時代であり、その学園生活が灰色だろうがバラ色だろうが、振り返ればそれなりに楽しく思い出される人が多いのではないだろうか。大学が一番自由ではあったが、自由過ぎて人間関係が希薄であったりする。どちらかといえばその後の社会人生活の前座のような感じで、親の庇護のもとあったとしても、その感覚は薄くなっている。授業とか先生、家に帰れば親という関係が基本で回っているのは、高校が最後。大学は規模もまちまちなので、多くの人が共感できるようなストーリーはトップランクの総合大学を想定するしかない。高校はある程度標準化できる。謎と言っても自分の家の中の開けていない部屋に入るようなもので、そこに全く別世界が開けているわけではない。仮に異世界につながっていたとしても、閉じれば元の日常生活の時空であって、規則正しい時間が流れている。小さな違和感を規律の中で楽しむことができるのも高校生活の楽しみなのかもしれない。高校生活の中に小さな冒険を見出し、大人たちはその時代に戻る。いつまで、高校時代に戻ることが許されるのだろうか。そこは書き手の挑戦である。

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