7月に公表された自治体DX全体手順書については、一見難しそうに見えるが、要は世の中で言われているDXの動きを、自治体向けに書き換えただけである。多少、小難しいIT用語が使用されているが、中身としては大したことはない。何より重要なのはガバメントクラウドの構築による自治体システムの標準化、共通化であり、今後、各種システムの更新において、このクラウドにどう寄せていくのかが自治体DX推進部局の中核業務である。
手順書には標準化、共通化にあわせ、業務の見直しを図るべしとあるが、DX推進部局が全権を与えられ、かつ自治体の標準レベルを超える人材を得てはじめて実現できることである。システムを所掌する担当部局が業務多忙であり、全国レベルの業務であれば、国の関係法規による縛りもあるので、担当部局任せにすると、クラウドに寄せることさえ覚束ない。
デジタルデバイド対策については、本来はDX推進部局の役割ではないと思う。古くて新しい行政課題であり、それっぽいことはこれまでも取り組んできている。DXについてこれまでの地域情報化と同様に考えている人(おそらく多くの人がそう考えている)向けの言い訳事業で、これは地域振興部局でやってもらえばよい。
自治体DX推進部局としては、いかに最新の動向を入手し、それに基づいて対応していくかにかかっており、そうした最新の情報、質の高い情報を入手するには、デジタル庁や標準化、共通化に深く関与するIT関連企業のキーパーソンが欲する情報をどれだけ持つかにかかっている。最初から不利な戦いであり、余計な庁内調整などに手足を縛られては到底勝ち目がない。対等の付き合いを捨て、つまりは勝負を捨て、おこぼれを預かる側に立てば楽になるが、それではいつまでも追いつけないし、県内市町村や中小企業との信頼関係も構築できない。
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