言葉の力

 人に伝えるために、言葉を選び、発信していく。これはある程度の職位になれば、常に心掛けなければならないと感じます。組織の上位にあれば通常、命令系統を通じて多くの人に影響を与えるので、軽く発言したことも大きな影響を与えることになります。後で撤回しても、それにより組織を動かしてしまっているので、特にそれが対外的に出てしまった場合、取り返すことができません。

 かつて、かなり上の役職にある方で、レクを受けているときに同席する部下がメモを取るのを見て、メモを取るなと怒ったことがありました。部下からすると、そうしたレクの場での発言を職場に戻り、伝えなければならないので、意思決定を伴わないフリートーキング出ない限り、メモを取らないわけにはいきません。ただ一方で、一日にさまざまな案件の説明を受けて判断しなければならない立場の人にとっては、初動で誤解をしており、その後、よくよく話を聞くと、その誤解が解ける、その結果、判断が変わるということはままある、と思いますので、なんでもかんでもメモを取るなというの気持ちもわかります。

 こうしたことは経験上、自分が説明を受ける立場になってみないとわからないと思います。説明資料も、自分が知っている情報をとにかく詰めこむことで、ある種保険を掛けるというやり方に陥りがちです。上からすると、材料だけ並べられていて、これをもとに担当がどう判断したいのか、担当の考えがわからないのは、資料として失格と思います。できれば情報は取捨選択されて、ストーリーができている資料が望ましい。プラス、参考情報が後ろについているという感じでしょうか。ただ、この点も、説明側の経験が足らないならば、上の立場がある程度類推して、こう考えているのではないかと意図をくみ取る作業は必要です。

 こう考えると、中間管理職というのは。双方の立ち回りを求められますので、役職として非常に重要だと思います。中間管理職こそ、組織が長期雇用を前提とするうえで、はじめて成り立つ役回りと言えるかもしれません。

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