レジリエンス(resilience)という言葉を、よく見たり聞いたりするようになりました。「復元力」「回復力」「反発力」といった意味であり、さまざまな場面で精神的ストレスがかかったとき、一旦は折れ曲がりながらも、折れることなくもとに戻る、木の枝のようなしなやかさが、この言葉に一番フィットするのかもしれません。
東日本大震災をはじめとする地震や、台風や豪雨等の自然災害により、毎年のように大きな被害が全国各地で発生して、そのたびに多くの人が亡くなったり、住む家が大きな被害を受けて、住み慣れた家を離れざるを得ない状況になっています。
加えて、新型コロナウイルスの感染はおさまらず、医療や保健行政の最前線は、長期にわたり過酷な状況での勤務を余儀なくされている一方、感染拡大防止のために経済活動が制限されることで、外食産業や旅行関連業界などは大きな打撃を受けているほか、幅広い業種において企業業績が落ち込んでいます。業績への影響も少なく、テレワークを積極的に導入できる企業は恵まれているともいえますが、毎日の通勤がなくなったことで、生活のリズムが崩れている人もいるようです。大学生も授業がリモート中心となったことで、サークル活動や友人との交流がなく、大学に入った実感が乏しいままということもあるようです。
このように見ていくと、社会のどのような立ち位置にあったとしても、ここにいれば安全とか、大丈夫ということはなく、直接影響を受けなくても、ライフスタイルや行動変容を余儀なくされ、精神的ストレスを受けるようになっていますし、今後も、昨日までの当たり前の生活がぶち壊されて、変化に対応することを求められる時代になっているのだと思います。
なればこそ、レジリエンスがもてはやされ、身につけようと考える人が多くなっているのだと思いますが、レジリエンスに関する本を読んで、何となく頭でわかったつもりになっても、思わぬ災難に遭遇したり、それにより経済的苦境に立たされれば、やはり気持ちは落ち込み、良からぬ方向に物事を考えがちになると思います。ただ、知識があれば、どこまでも落ち込み、悪循環に陥りがちな内向きに閉じていく思考回路を一旦止めることができます。そして、自分にとって都合の悪い出来事にぶつかるたびに、そうした思考の悪循環を止めることを繰り返せば、次第に復元力が高まっていくように思います。ただ、ここの方法論は、人それぞれなので、一定の知識をインプットしたうえで、自分なりの「戻り方」のようなものを試行錯誤しながら身につけていくしかないでしょう。
また、経済的基盤が不安定だと、波で激しく揺れている船上で立ち上がるようなものであり、立ち上がるのも容易ではなく、すぐにまた転んでしまいます。個としての強みを見出し、どのような状況においても、他者が必要とする、価値あるものを提供できるよう、自分を磨いていきたいと思います。
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