一人ですべてをこなしている、フリーランスの人は別かもしれませんが、組織に属し、あるいは人を雇う立場にある人が、自分の仕事を進めるためには、他人の協力が不可欠であり、他人を上手に動かすことが、自分の仕事のアウトプットの質を高めることになります。どんなに自分の能力やスキルが高い人でも、一人ですべてをこなそうとすると、どうしても行き届かなくなります。これは、一人の人間が持てる気力、体力、知力に差があるといっても、人が協力しあうことで生み出される力の大きさに比べれば、その差は小さいこともありますが、時々刻々と変化する状況に対応するにも、司令塔がすべての情報を集約していちいち指示をするよりも、それぞれの持ち場で自律的に動ける人が多くいた方が、迅速かつ適切に対応できるというのがあると思います。
立場が上になると、自分で資料を作成する方が早いしクオリティも高いと思いながらも、それをやってしまうと、自分の立ち位置(持てる情報の多さや経験も含め)からしか判断できないようなことがおろそかになり、組織の力をそれ以上、引き上げられなくなります。そのため、人に作業を頼むことが増えるわけですが、その時に手戻りを少なくするには、なるべく、個別具体に指示をして、誰が何をすべきかを明確にしたうえで、発注する必要があります。これは立場が上になると、少なくとも作業内容の全体像を、まずは自身が理解しなければならないということであり、特に時間的余裕のない作業が求められる場合、発注から刈り取りまでの期間を確保しなければ、指示をされた側も作業時間が確保できずにアウトプットの質が低下することになるので、自分と他人の作業の時間配分は難しいところです。
ただ、世の中、あまりに丸投げの作業というものが横行して、それにより無駄な作業を生じさせて、ただでさえ人的資源に余裕のなくなっている中、コンプライアンスとかでがんじがらめにして仕事のやりずらい環境にあるところに、さらなるダメージを与え、アウトプットの質の低下につながっているように思うので、自分の能力や感性を磨き、物事を的確に把握できるようにして、発注には細心の注意を払い、方向性を示し、個別具体の指示を出す、そういうことに心がけたいと思います。
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